国際教育の最前線
現代において、国際教育がかつてないほどの重要性を帯びていることに疑いの余地はない。グローバル化が世界を覆いつくし、多文化共生、多言語運用能力、異文化理解力の必要性がますます顕在化している中、特に幼児期からのバイリンガル教育への需要は右肩上がりに高まっている。世界的な視野を持ち、認知能力を高め、異文化理解力を深めることこそが、新時代を生き抜く子どもたちに求められているのだ。 インターナショナルスクールは今や世界で1万3千校を超え、生徒数は約580万人、市場規模は7兆円近い。アジアでは香港やシンガポールを筆頭に、質の高い教育を求める家庭が今、着実に増えている。 その最前線に位置するのが、川崎市に位置する「KINCARN INTERNATIONAL SCHOOL」である。幼稚園と保育園の両方の機能を持ち、国や市の補助金の対象にもなっているインターナショナルスクールだ。株式会社KINCARN代表取締役にして園長を務める瀧澤昌子は、この新時代の教育を象徴する人物と言える。

無いものは作ればいい

彼女の経歴は、熱く、力強い。もともとは普通の企業に勤めていた彼女だが、我が子の教育環境を探し求める中で、社会が必要とする理想の教育が見つからないことに直面した。川崎という大都市圏においても、自分が思い描く「日本の幼稚園の良さ」と「国際的な視野」を融合した環境は存在しなかったのだ。無いものは作ればいい…瀧澤は、この単純で大胆な発想を現実に変えるため、行動を起こした。 彼女は会社勤めの昼休みに経営のためのスクーリングの授業を受け、ビジネスの基本から学び始めた。当時、第三子を妊娠中であったにもかかわらず、産休の時間すら活用し、徹底的にリサーチを重ねた。「自分が理想とする場所がなければ、自分で創ればいい」その情熱に突き動かされ、1998年、ついにKINCARN INTERNATIONAL SCHOOLを設立するに至った。 最初は園庭すらない小さなマンションの一室からスタートした。しかし、彼女の情熱と教育への純粋な想いが周囲を巻き込み、やがて理解者と支援者が現れ始めた。現在では駅から徒歩圏内という好立地に広々とした園庭と施設を構えるに至っている。これは単にスクールが成功した証だけではなく、彼女が掲げた教育理念が、多くの保護者や教育関係者の心を強く動かした証明でもある。
理想的な教育環境
瀧澤代表が掲げるKINCARN INTERNATIONAL SCHOOLの教育は、語学を教えるだけの学校ではない。日本国内で過ごしつつも、その生活様式やコミュニケーションに悩む海外の人々のための受け皿という役割も担っている。つまり日本語も外国語も同等に尊重し、多文化共生をリアルに体現する場所なのだ。現在、園には日本をはじめ日本、イギリス、ドイツ、ベルギー、フィリピン、カナダ、ジンバブエ、オーストラリア、フランスといった9か国の教員が在籍し、多様な文化のイベントを通して世界を体感できる場を提供している。 世界各地から教師を集め、様々な国の文化行事を取り入れることで、子どもたちは幼い頃から自然に国際感覚を身につける。多様性と異文化理解を教育の柱として、私たちが育てるべき次世代の姿が、そこに垣間見えるようだ。 各国の大使館も積極的に協力するなど、その教育環境は世界そのものを小さく凝縮したような理想的な空間…KINCARN INTERNATIONAL SCHOOLが提供するのは、ただのバイリンガル教育ではない。未来のグローバル市民を育てるための「環境」そのものなのだ。

地球規模で考えること
明治時代に日本の女性教育の礎を築いた津田梅子。彼女は「環境がなければ自分で作る」ことを恐れなかった先駆者だった。「教育とは未来のために現在を投資すること」と梅子は言ったが、瀧澤代表もまさにそれを地で行く人物である。津田が海外留学の経験から、日本女性の自立と国際的な視野の必要性を訴え、行動を起こしたように、瀧澤もまた、自らの実体験を元に次世代の子供たちが世界に羽ばたくための環境づくりに力を注いでいる。 津田梅子の名言に「夢は高く持ちなさい。そして、それを実現する努力を惜しんではならない」という言葉がある。瀧澤代表もまた、教育という夢を追いかけ、努力を惜しまず、困難を当然のように乗り越えてきた。瀧澤代表が今後見据えるのは、日本の教育をさらに広く、深くグローバルなものにしていくことだ。そのために彼女は常に新しい試みを止めない。 彼女が抱くのは、単に「外国語が話せる子どもを育てる」ことではなく、異なる文化を尊重し、多様な価値観を柔軟に受け入れ、地球規模の課題を自ら解決できる力を持った人材を育成することである。彼女が次世代の若者に向けて伝えるのは、自分自身の可能性を信じ、「ないものは作ればいい」という前向きで挑戦的な精神である。 KINCARN INTERNATIONAL SCHOOLが目指す教育の形は、まさに日本がこれから必要とする教育の姿そのものだ。彼女のような強い信念と実行力を持つ教育者がいる限り、国際教育の未来は明るい。
