CHALLENGERS' VOICE
子どもとママさんの砦として
北浜こどもクリニック 理事長兼院長
北浜 直 Kitamahama Tadashi

1976年埼玉県生まれ。聖マリアンナ医科大学卒業後、新生児科医として岡山医療センター、豊島病院、山王病院に勤務。2010年、川崎市高津区に「北浜こどもクリニック」を開業。患者と家族に寄り添う医療を実践している。

https://www.kitahama-kidsclinic.jp/index.html

川崎市高津区の“駆け込み寺”

戦国時代、越後の龍と称された上杉謙信は、戦場での圧倒的な強さと共に、義を重んじる精神で知られていた。彼は自身を「毘沙門天の化身」と信じ、私利私欲を排し、人々のために戦い続けた。そこには、単なる勝利への執着ではなく、弱き者を救い、正義を貫こうとする強い信念があった。その精神は、時代を超えて受け継がれ、現代にも通じるものがある。 医師・北浜直。もちろん刀が交差する戦場で彼は戦うことはない。しかし、子供たちの命と未来を守るという使命の下、日々戦い続ける姿には、どこか戦国の英雄と重なる部分がある。 北浜こどもクリニックは、単なる医療機関ではない。「子供たちの味方であり、ママたちの味方である場所でありたいんですよね」と語る北浜院長。そこには「子供たちが恐れずに訪れることのできる場所」、そして「ママたちの駆け込み寺」として機能する、温かくも革新的な小児科である。

インタビューの様子

病院で出会ったあるジレンマ

子どもたちからのメッセージ

北浜院長の医療の原点は、彼自身の幼少期にある。彼は幼い頃から子供たちに慕われ、まるで磁石のように周囲の子供たちが集まる存在だった。その経験が漠然と「子供と関わる仕事をしたい」という思いへとつながり、次第に小児科医への道を意識し始めたと語る。 高校時代には物理学に興味を持ち、本気で天文学者になることを夢見たこともあったが、結果的に彼は、直感に従い医師の道を選んだ。医学部に進学し、新生児科を専門に選んだ彼は、大病院で経験を積みながら、次第にあるジレンマに直面する。北浜院長が大病院での勤務を通じて感じた「患者との距離が遠くなること」という葛藤である。 大病院では昼も夜もなく、患者との密接な関係を築くことが難しい。特に新生児科では、命を救うために精一杯尽くすが、患者との関係は一方通行になりがちだった。彼はもっと近くで子供たちの成長を見守り、家族と深く関わることのできる医療を志向するようになった。これこそが、彼の医療観を形づくる決定的な転換点だと言えるだろう。そして2010年、川崎市高津区に「北浜こどもクリニック」を開院したのである。

ママさんこそ手厚いケアを

梶が谷駅が最寄りである北浜こどもクリニックには、明確な哲学がある。それは「子供たちに余計な苦痛を与えない医療」を実践することだ。一般的に小児科では、子供が嫌がろうが泣こうが、必要な処置は強行されることが多い。これは在る種仕方のないことだと、往々にして片付けられることだ。しかし北浜院長は、そうした医療に疑問を持っていた。「無理に押さえつけて検査をするのではなく、子供自身が協力できる環境を作るべきではないか?」そうした考えのもと、クリニックでは必要最低限の検査を行うことを前提とし、子供たちが安心して治療を受けられるような雰囲気を徹底している。その結果、子供たちは次に来院するときに警戒心を抱くことなく、むしろ「また来たい」と思うようになるのだ。 「病院を怖い場所ではなく、安心して来られる場所にしたいんです」と彼は言う。これは単なる医療行為ではなく、一種のエンターテイメントの要素を取り入れた、小児医療の新たな形といえる。クリニックにはゲームコーナーがあり、子供たちは治療を終えるとコインをもらい、それを使って遊ぶことができる。待合室の雰囲気も病院らしさを排除し、まるでテーマパークのような空間になっている。結果として、病院に来ること自体が子供たちにとって楽しい体験となる。 北浜院長が重視するのは、子供たちだけではない。母親、特に育児に疲れ果てたママさんのケアも大切にしている。最近では核家族・ワンオペ育児が当たり前になり、母親たちの負担は計り知れない。彼らが健康でなければ、子供たちも健やかには育たない。 そのため北浜こどもクリニックでは、母親たちがリラックスできる環境作りを進めている。例えば、美容と健康のためのプラセンタ注射を提供したり、医療相談だけでなく、精神的なサポートも行っている。またオンラインサロンも開設し、時には母親たちが息抜きできるよう、育児の負担を減らすための情報提供にも努めていると院長は語る。

待合室のゲーム

“義”を貫く医師として

北浜院長が目指すのは、単なる小児科医ではない。彼は「子供とママの駆け込み寺」を目指し、どんな悩みでも受け止める存在でありたいと考えている。子供の健康だけでなく、母親の精神的な負担、さらには進路や恋愛相談まで含めて、幅広く対応する場を作りたいのだ。 彼の医療に対する姿勢は、まさしく上杉謙信の義の精神に通じるものがある。医師としての責任を果たし、困っている者を見捨てない。その信念こそが、北浜こどもクリニックを唯一無二の場所へと押し上げている。 この場所には、単なる医療を超えた、人と人との温かい繋がりがある。北浜直という医師は、まさに現代の戦場で戦う「義の医師」なのだ。

クリニックの看板